思い出この一枚
平成14年1月16日新聞
武道の神髄米国で披露
学生時代は野球一筋で甲子園にも出場した
だが、年齢を重ねるにつれて選手としての
限界を感じ始め、生涯を通じて
楽しめる競技はないかと考えていた
そんな時に巡り合ったのが弓道
ちょうど30歳だった
それから22年
選手、監督として出場した国体も
いい思い出だが、1993年の米国での
演武は忘れられない
この年、6月6日から8日間、
アリゾナ州フェニックス市で
「JAPAN WEEK」
と銘打ったイベントが開かれ
弓道など9つの武道を
披露することになった
私は山西守衛さん
(当時県弓道連盟会長)から
「秋田君、ぜひ行ってくれないか」と
依頼され、喜んで大役を引き受けた
弓道の選手は5人
私が最年少だった
写真の会場は
NBAのバスケットボールチームが
本拠地にしている体育館で、
軽く1万人は収容できると思う
ところが披露する前日に訪れると
矢が傷つきそうな設営だった
的場の土の代わりに発泡スチロールを
何枚も重ね、自分たちでその上に
暗幕をかけて体裁を整えた
武道館演技のトップが弓道
緊張して射場に入ったのを覚えている
「調和の美を表現し、
弓道の神髄を知ってもらおう」と、
みんなで申し合わせていた
弓を引く時、満員の観衆は
水を打ったように静まり
的中すると大喝采
拍手と歓声が
頭上から覆いかぶさってくる感じで
先陣の役割を果たせてほっとした
他の武道の先生方とも親しくなり
指導法などを勉強させてもらった
いま鳴門市内で弓道を教えているが
この経験が役立っている